風呂場にて
今週のお題「怖い話」
小学生の時、
夏休みのちょうど今くらいの季節に風呂で体験した話です。
私の実家は関東北部の山奥で
家の周囲は三方が田んぼで囲われていました。
水場が近いので昆虫や爬虫類が多く
夏は蛙の鳴き声が盛大に聞こえます。
実家の風呂は洗い場の床に
いろいろな大きさの石がはめ込まれていました。
石は小さいもので2cm×3cm、大きいもので5cm×10cmくらいです。
私は小学校1〜2年生だったので
身長は120〜130cmくらいだったと思います。
入浴中は浴槽にすっぽり入ってしまうので
洗い場は見えなくなるんですね。
温まったので体を洗おうと浴槽から出ようとしたとき
違和感を感じたのです。
洗い場の石の一つに顔が浮き出ていました。
鮮明な人面というわけではなく線で描かれた顔です。
あぶらとり紙のパッケージで有名なものがありますが
あのような感じです。
習慣でしょうか
きちんと洗わないと風呂からは出ては行けないと思い
顔を見ないように髪や体を洗いました。
再び浴槽に入り
出る時に確かめようと思いました。
顔はそのままでした。
風呂から出ても怖がっていると思われるのが嫌で
家族の誰にもこの体験は話しませんでした。
そして私の後に入浴した誰からも顔の話は出ず
翌日には顔は消えていました。
不思議なことは突然起こり
釈然としないまま終わるのだなあと思った体験です。