隠蔽
今週のお題「読書感想文」
【隠蔽】
故意におおい隠すこと。
嫌な印象を受ける言葉ですが
それはこの行為が悪意に溢れているからなのだと気付かされます。
524人の命乞い
著:小田周二(文芸社)
作者の小田氏は1985年の
日本航空123便墜落事故で次男と長女を亡くされました。
この事故は不可解な点が非常に多いと言われています。
特定されない事故原因や
関係者が誰も法的処罰を受けないという現実に
自ら真相を明らかにしようという戦いの記録です。
この内容が真実なのかは分かりません。
しかし
著者の集められた資料や記録
それらを踏まえた論理展開からは
これが事実なのだろうと思わされます。
筆者はプロローグで次のように記されています。
私がたどり着いた仮説が真実か否か。それを検証する義務と責任を負うのは私ではない。それを負うのは、多くの疑問を突き付けられながらこれまで再検証を忌避し続けてきた政府だ。その義務と責任を負うように政府に求めること。願わくば読者一人一人が本書をきっかけとして、政府に責任ある再調査と再検証を求めて声を上げてくださること。それこそが、一人の遺族である私が本書を世に問う目的である。(p26)
筆者の仮説を簡単にまとめます。
1985年8月12日、
この時点では123便を救う術はあったにも関わらず
というものです。
「桶川ストーカー殺人事件」「殺人犯はそこにいる」の
清水潔さんは調査報道というスタイルで真相に迫りますが
公的な情報が当てにならないなか
小田さんも同じように真相に迫られています。
このような事件があったということを
多くの方に知ってもらいたいと思わされる一冊です。
事件に興味がなければまずは読み物としてでも
知っていただきたいです。
ぜひお手に取ってみてください。